"The Women"


"The Women"写真クレジット:Picturehouse
この夏、"Sex and the City" に始り "Mamma Mia" や "The Sisterhood of the Traveling Pants 2" など、女同士の友情を描く映画がいくつか公開され、ちょっとしたトレンド感がある。
この映画もその流れにそったコメディで、全編男がまったく登場しない凝った作りになっている。テーマは試される女の友情。と同時に近年ヒット作に恵まれないメグ・ライアンの人気回復も試されているのだが、果たして…。

金融で大成功した夫と11歳の娘がいるメアリー(ライアン)は、大きな屋敷で優雅なガーデンパーティを主催する超ハイソな女性。誰からも好かれ、父のビジネスを手伝いながら料理からガーデニングまでこなすスーパーウーマンだ。そんな彼女の夫が浮気をしていることを知った親友のシルヴィ(アネット・ベニング)は大慌て。友人に相談して3人でメアリーに告げにいくと、彼女ははすでに知っていた。

この騒ぎにレスビアンのライター(ジェダ・ピンケット・スミス)や妊娠中で4人の子持ち(デブラ・メッシング)の友人、メアリーの母(キャンディス・バーゲン)やら夫の愛人(エヴァ・メンデス)など華やかな脇役が絡んで、それぞれ言いたいことを言って笑わせる。

後半はシルヴィのメアリーへの裏切りへと話が転じ、「夫の裏切りより親友の裏切りの方がずっと堪える」と言って落ち込むメアリーとシルヴィの関係の行方に焦点が当てられる。しかし、あまり身が入らない。

夫を追い出しても家政婦も子守りもいるリッチな生活は変わらないメアリー。一念発起してデザイナー・デビューを果たすとすぐにバイヤーがついてと、出来過ぎた展開。ライアンの演技もかつてのラブコメのイイ子ちゃん風で深みに欠け、大人っぽいベニングの巧さとかみ合わず、親友に裏切られた痛みが伝わってこないのだ。

監督は80年代に大ヒットをしたTV番組 "Murphy Brown" を作ったダイアン・イングリッシュ。1939年に作られたジョージ・キューカー監督の同名映画の70年後のリメイクである。

旧作のゴシップ好きで嫉妬と反目を繰り返すハイソ女性たちの風俗劇を、彼女が現代風に女同士の友愛物語として書き変えたということだが、友愛は胸に届かず頭の上の方を行き過ぎた。大成功したイングリッシュ自身がハイソな生活に慣れ過ぎたのだろうか。かつての鋭さは感じられなかった。

上映時間:1時間54分。サンフランシスコは12日よりブリッジ・シアターで上映開始。

"The Women"英語公式サイト:http://thewomenthemovie.com/index.html