"Popstar: Never Stop Never Stopping"

(原題『ポップスター:ネヴァー・ストップ・ネヴァー・ストッピング』)

"Popstar: Never Stop Never Stopping" 写真クレジット:Universal Pictures
子供の頃から音楽的才能を開花させ、人気バンドを経てソロとなったコナー・4・リアル(アンディ・サムバーグ)は、今や世界的ポップスター。ところが2枚目のアルバムとツアーは大不評。あっという間に頂点から転げ落ち、元バンドメンバーで今はコナーのDJをしているローレンス(アキバ・シェイファー)に八つ当たりする始末。
だが、ローレンスはコナーと喧嘩別れしたもう一人の元メンバー、オーウェン(ヨーマ・タッコン)に声をかけ、コナーとの仲直りを企てる。

本作を観て、ジャスティン・ビーバーとEDMのパロディと分かる人なら、かなり楽しめる映画だろう。
ジコチュウな主人公は傲慢発言と行動で知られるビーバーを彷彿とさせるし、電飾が炸裂するステージはEDMの舞台そっくり。加えて、アッシャー、シール、ピンクなどのキラ星のごときカメオが顔を揃え、コナーがいかに偉大なスターであったかを語り、サポートするという趣向。

映画作品としては、架空のヘビメタ・バンドの盛衰を描いた84年の『スパイナル・タップ』が切り開いモキュメンタリーのジャンルに入る作品だ。米のポップミュージック・シーンに特化したパロディで笑わせてくれる。

シェイファーが製作、脚本、監督、主演はサムバーグとシェイファー、タッコンの3人で作る音楽コメディグループ「ロンリー・アイランド」が担当している。グループの映画製作は前作の『ホット・ロッド/めざせ!不死身のスタントマン(Hot Rod)』以来2作目だ。

彼らはリアナやジャスティン・ティンバーレイクなどの人気シンガーらをフューチャーしたコミカルな音楽ビデオの他に、ラップらしい社会批評を込めたビデオも多く製作、リリースしたアルバムもヒットしている。コメディ作家であると同時に音楽性の高さも評価されている多才なグループと言えるだろう。

短いヒップホップビデオに凝縮された批評性に才気を感じさせるグループだが、本作では音楽業界そのものへの風刺が希薄。元祖『スパイナル‥』の持つ突き抜けるパワーには及ばない印象だった。

上映時間:1時間26分。
"Popstar: Never Stop Never Stopping"英語公式サイト:https://www.uphe.com/movies/popstar-never-stop-never-stopping