"The Second Best Exotic Marigold Hotel" (仮題『マリーゴールド・ホテルで会いましょう2』)


"The Second Best Exotic Marigold Hotel" 写真クレジット: Fox Searchlight Pictures
インド、ジャイプールにあるマリーゴールド・ホテルの経営者ソニー(デーヴ・パテー)は、事業拡大のため近所の古いホテルを手に入れようと、相談役であるミュリエル(マギー・スミス)と共に米国の大ホテルチェーンに援助を依頼する。
調査を約束され帰国したソニーは、米国からの宿泊客ガイ(リチャード・ギア)を覆面調査員と思い込み、最上の接待に大わらわ。同じ頃、インド生活に慣れたホテルの住人マッジ(セリア・イムリー)は裕福なインド男性との婚活に、イヴリン(ジュディ・デンチ)は新しい仕事に充実を見出し、そんなイヴリン対するダグラス(ビル・ナイ)の恋心は消えずにいた。

シニアのドラマとしては予想外のヒットをした英国映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』のパート2だ。配役も役柄も前作を継承し、監督のジョン・マッデン(『恋におちたシェイクスピア』)、脚本のオル・パーカーも同じなので、前作の持ち味である英国的ユーモア、ロマンスの甘みと老年の塩辛さが相半ばした味わいは本作でも健在。前作のファンの期待をさほど裏切らない仕上がりではあった。

本作では花盛りなシニア間のロマンスを描きながら、結婚を目前にした若いソニーにも焦点が当てられる。彼と婚約者スナイナ(テナ・デサイ)と彼女の一族、ソニーの母の期待なども描かれ、作品に活気や華やかさが生まれた反面、前作の良さがやや損なわれた。

前作では英国人シニア男女が慣れないインド暮らしに驚きながらも、ぞれぞれに自分の居場所を見出していく姿に焦点があり、老年の諦めとプライドをさりげなく表現したスミスやデンチ、ナイなどの名演が作品の極上の味わいだった。
だが、本作ではドラマの騒がしさの中で、さりげなさがかき消されがち。それでも、若さに任せて失敗を繰り返すソニーを、困った顔で見つめるミュリエルのナレーションで物語が語られることで、かろうじて若年と老年の人生への向き合い方の違いという点は浮かび上がった。

死をどれほど近くに感じるか。これには年齢差もあるが、個人差もある。シニカルなミュリエルとしなやかさを持ち続けるイヴリンの違いは、諦めを知った年齢になっても諦めない、人生に選択の余地はいつでもあることを伝え、それが本作の美点となっていた。

上映時間:2時間2分 
"The Second Best Exotic Marigold Hotel" 英語公式サイト:http://thesecondbestexoticmarigoldhotel.com/