2009-01-01から1年間の記事一覧

"Food, Inc."

"Food, Inc." 写真クレジット: Magnolia Pictures 2009年に観た中で一番怖かった映画を紹介しよう。と言ってもホラー映画ではない。米国の食の現状を暴く衝撃的なドキュメンタリー映画だ。この映画を観終わると加工食品は買えない、ファストフードも食べら…

"Up in the Air"(邦題『マイレージ、マイライフ』)

『マイレージ、マイライフ』写真クレジット:Paramount Pictures主役より脇役が気になる時がある。主役の男に絡む恋人や同僚、上司など女たちがリアルな存在感を持って描かれている映画はできが良い。本作にも手強い女二人が登場する。

"Precious: Based on the Novel 'Push' by Sapphire" 2(邦題『プレシャス』)

『プレシャス』写真クレジット:Lionsgate アフリカ系の母子家庭を舞台に、母親に惨い虐待を受ける少女を主人公にした映画が、公開前から話題になっている。今年のサンダンス映画祭で最優秀審査員賞、観客賞など3賞を受賞し、カンヌでも高い評価を得たことや…

"The Maid"

"The Maid" 写真クレジット:Elephant Eye Films チリの映画監督セバスチャン・シルバのデビュー作。メイドと共に育った彼の体験から自ら脚本を書き映画化し、今年のサンダンス映画祭のワールドシネマ作品賞を受賞した作品だ。

"Fantastic Mr. Fox"

"Fantastic Mr. Fox" 写真クレジット:Twentieth Century 魂は細部に宿る。その言葉通りの人形アニメ(人形を1コマごとに少しずつ動かして撮影し、動画のように見せる撮影技法を使ったアニメ)だ。

『Precious: Based on the Novel Push by Sapphire』(邦題『プレシャス』)

『プレシャス』 写真クレジット:Lionsgate 娘に皿を投げつけ、フライパンで殴りかかり、「お前など誰も必要としていない」と罵詈雑言を浴びせかける母。実の子を憎み、蔑み、痛めつけることしか出来ない母親がいる。そんな親は想像以上に多いのかもしれない…

"The Times of Harvey Milk" (1984年、邦題『ハーヴェイ・ミルク』)

『ハーヴェイ・ミルク』 写真クレジット: Telling Picturesドキュメンタリー映画が劇映画と同じように観客の心を掴み、感情を激しく揺さぶることの出来る力強いメディアだ、ということを世界に証明した記念碑的作品を紹介しよう。『The Times of Harvey Milk…

"An Education" (邦題『17歳の肖像』)

『17歳の肖像』 写真クレジット:Sony Pictures Classics16才というのは微妙な年齢。もう子供ではないが、夢見がちな時期でもある。この映画の舞台となる1961年のイギリスという設定も微妙だ。

"A Serious Man"(邦題『シリアスマン』)

『シリアスマン』 写真クレジット:Focus Features インテリ男の中年クライシスをスリラータッチで見せる凝った作りのダーク・コメディ。07年の『No Country for Old Man』、去年の『Burn After Reading』http://d.hatena.ne.jp/doiyumifilm/20080918/122174…

"Bright Star"

"Bright Star" 写真クレジット:Apparition19世紀初頭のイギリスを舞台に、25才で早世したロマン主義の詩人ジョン・キーツとファニー・ブロンの結ばれぬ恋を描いた映画。と書くと甘くロマンチックな作品を想像するかもしれないが、感傷はむしろ抑えられてい…

"Julie and Julia"(邦題『ジュリー・アンド・ジュリア』)

"Julie and Julia" 写真クレジット: Columbia TriStar Motion Picture Group, Sony Pictures Releasingこの夏、またしてもメリル・ストリープ主演の映画『ジュリー・アンド・ジュリア』がヒットしている。去年のミュージカル『マンマ・ミーア!』、06年の『…

"The September Issue"(邦題『ファッションが教えてくれること』)

『ファッションが教えてくれること』 写真クレジット:Roadside Attractions メリル・ストリープが主演して大ヒットした映画"The Devil Wears Prada"(http://d.hatena.ne.jp/doiyumifilm/20060705) のモデルと言われる雑誌「ヴォーグ」の名物編集長アナ・ウ…

『歩いても 歩いても』(英題 "Still Walking")

『歩いても 歩いても』写真クレジット:IFC Film 自分の家族とは違う家族構成なのに、まるで自分の家族をみているよう。そんな気分になる映画だ。和やかな普段着の会話を通して、家族の温かさや安心感、反面のわだかまりや残酷さが巧みに描き出された端正な…

elles@centrepompidou

写真クレジット: elles@centrepompidou 初めて訪ねたパリで刺激的な展示会を観た。ポンピドゥー・センター内にある国立近代美術館のelles@centrepompidou (彼女たち@centrepompidou)で、美術館のコレクションの中から選ばれた女性アーティスト200人の500…

“Inglourious Basterds”(邦題『イングロリアス・バスターズ』)

『イングロリアス・バスターズ』写真クレジット:The Weinstein Company クエンティン・タランティーノの映画には、立派な主張やドロドロした感情がない。復讐劇の『Kill Bill』ですらサラサラ。大量に流される血もぜんぜん本物らしくない。どこか野球の試合…

"The Cove"

"The Cove" 写真クレジット:Roadside Attractions この映画の日本上映が決まらないという。日本でイルカ肉が食用で販売されていること、高値で売れるクジラ肉と偽装されていること、多くは国の決めた最大許容量をはるかに越える水銀を含有していること、な…

"Unmistaken Child"

"Unmistaken Child" 写真クレジット:Oscilloscope Laboratories チベット仏教では高僧の死後に彼らの生まれ変わりを見つける伝統がある。このドキュメンタリーはその実際を丁寧に記録したもので、主人公は師の転生者を捜す若い僧侶テンジン・ゾッパ。

"The Hurt Locker"(邦題『『ハート・ロッカー』)

『ハート・ロッカー』 写真クレジット:Summit Entertainment 女性監督の撮った戦争アクション映画ということで話題になっている。監督の性別はさておいて、炎天下で戦う兵士を体当たりで演じた役者たちの砂にまみれた汗と涙は本物だ。イラク戦争を背景に、I…

"Moon"(邦題『ザ・ムーン』)

"Moon" 写真クレジット:Sony Picture Classics 石油や原子力に代わる新しいエネルギーとして注目される物質にヘリウム3がある。地球にはほとんどないが、月の砂に吸着されており、これを採集して核融合をすると発電が可能となる。放射性廃棄物や二次的に放…

"Every Little Step"(邦題『ブロードウェイ♪ブロードウェイコーラスラインにかける夢』)

『ブロードウェイ♪ブロードウェイ』 写真クレジット:Sony Picture Classic 舞台ミュージカルの楽しさは、伸びやかな歌声が劇場いっぱいに広がり、ダンスシーンの躍動が生で伝わる快感にあるのではないだろうか。人の声と肉体が生み出す命のバイブレーション…

"À bout de souffle” (59年。邦題『勝手にしやがれ』)

"Breathless" DVD 写真クレジット:Fox Lorber 映画の一場面なのに、現実よりも鮮烈な記憶として残っているイメージがある。『勝手にしやがれ』(英題 "Breathless")に出てくるパリの夕闇もその一つ。シャンゼリゼの街灯にフッと明かりが灯る一瞬の息をのむ…

"Away We Go" (『お家をさがそう』)

『お家をさがそう』写真クレジット: Focus Features Release 最近、妊娠映画が面白い。07-08年にかけて大ヒットした"JUNO" や、望まない妊娠に絡む心理ミステリー"Stephanie Daley"など、女性脚本家の手による作品に秀作が多い。この脚本も妊娠中の女性作家…

"Snijeg"

"Snijeg" 写真クレジット:Pyramide International ずっとイスラム圏の女性監督の作る映画を観たいと思っていた。『ペルセポリス』のようなコスモポリタンの孤独を描いた作品もあるが、見たかったのは平凡な暮らしをしている女たち。彼女たちは何を大切に思…

『おくりびと』、『大日本人』

『おくりびと』写真クレジット:Regent Releasing 奇しくもまったく違った作風の邦画二作がサンフランシスコで劇場公開される。『おくりびと』(英題 "Departures") と『大日本人』(英題 "Big Man Japan")だ。

"The Matrix"(99年、邦題『マトリックス』)

『マトリックス』写真クレジット:Warner Bros. 過去10年間を振り返ってこれほど興奮した映画はない。自分の世界観に根本的なインパクトを与えたという意味では最強の映画だと思う。どんなSFアクション映画も、本作と比べると色あせて見えて困るほど。それが…

"Treeless Mountain"

"Treeless Mountain" 写真クレジット:Oscilloscope Laboratories 3月のアジア映画祭で観た映画だが、今でも鮮やかに思い出すことができる。韓国を舞台に、母と離れて暮らす6歳の女の子と幼い妹をドキュメンタリー・タッチで描いた瑞々しい劇映画だ。

"Anvil! The Story of Anvil"(邦題『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』)

"Anvil! The Story of Anvil" 写真クレジット:VH1 and Abramorama Films 最近、コメディ映画を観ても笑えない。わざとらしい魂胆が丸見えだからだ。ところが、ドキュメンタリーに笑いアリ。トホホからガハハまで色とりどりの笑いを堪能した。

サンフランシスコ国際映画祭上映作品の中から

世界の家族を見つめる 『歩いても 歩いても』写真クレジット:IFC 夏のある日、長男の15回忌に集まった家族の一日を描いた是枝裕和監督の『歩いても 歩いても』("Still Walking")。死んだ長男を今だに忘れられない年老いた両親、家族の仲介役を要領よく演じ…

"The Garden"

"The Garden" 写真クレジット:Oscilloscope Laboratories ロサンゼルスで14年も続いた米国最大(14エーカー)のコミュニティ農場「サウス・セントラル・ファーム」(以下ファーム)の立ち退きをめぐる闘いを追ったドキュメンタリー作品。

"25th Hour"(2002年、邦題「25時」)

"25th Hour" 写真クレジット:Buena Vista Pictures スパイク・リー監督の作品から一つだけ選ぶなんてことは無理だ。『ドゥ・ザ・ライト・シング』や『マルコム X』など好きな作品が多すぎる。ただ私にとって、01年の9/11事件後に観た映画の中で最も暗示的だ…