2010-01-01から1年間の記事一覧

『セラフィーヌの庭』(原題 "Séraphine")など6作品

写真クレジット:Music Box Films 20世紀初頭に実在した素朴派の画家セラフィーヌ・ルイと彼女を見いだした著名な画商ヴィルヘルム・ウーデの出会いと生涯にわたる交流を描く。

"The King's Speech"(邦題『英国王のスピーチ』)

『英国王のスピーチ』 写真クレジット:Weinstein Company 英国のエリザベス女王の父親ジョージ6世はある障害を持っていた。あがり症で、大切な演説となると吃ってしまうのだ。ラジオが普及して、生放送で国民に語る機会も多いのにマイクの前で硬直してまう。

"White Material"(『ホワイト・マテリアル』)

『ホワイト・マテリアル』 写真クレジット:IFC Films 『ショコラ』でアフリカで子供時代を過ごした体験を映像化したフランスの女性映画監督クレール・ドニが、もう一度アフリカを描いた。

"127 Hours"(『127時間』)

『127時間』写真クレジット:Fox Searchlight Pictures ユタ州の渓谷で巨岩に右手を挟まれ死を覚悟した若い登山家が、ついに自らの力で脱出に成功した実話の映画化である。原作は全米でベストセラーになった彼の手記『アーロン・ラルストン 奇跡の6日間』で…

"Four Lions"

"Four Lions" 写真クレジット:Drafthouse Films 現在の英国を舞台に、自爆テロを計画するモスリムの男達をコミカルに描いた風刺劇。05年のロンドン同時多発テロで50数人の死者が出たことを思い返すと不快に感じる人も多く、事実、遺族たちが本作の上映禁止…

"Howl"(『吠える』)

『吠える』写真クレジット:Oscilloscope Laboratores サンフランシスコにCity Light Books (http://www.citylights.com/) というペーパーバックだけを売っている本屋がある。1953年に詩人のローレンス・ファーリンゲティが始めたもので現在も営業中。彼はビ…

"Never Let Me Go"(邦題『わたしを離さないで』)

『わたしを離さないで』写真クレジット:Fox Searchlight Pictures 『日の名残り』などで知られる日本生まれの英国作家カズオ・イシグロの最高傑作と呼ばれる小説の映画化である。若い主人公の追憶と内面世界を描きだした文学的香りのする作品で、英国の人気…

"Undertow"(原題 "Contracorriente")

"Undertow" 写真クレジット:The Film Collaborative, Héctor Álvarez LGBT(レスビアン、ゲイ、バイ、トランスジェンダーの略)フィルムをたくさん観て来たと自負するレスビアンの知人が「今までに観た中で一番良かった」と推薦してくれた映画だ。小さなペ…

"Buried"(邦題『リミット』)

『リミット』写真クレジット:Lionsgate 登場人物はたった一人、場面のほぼ全てが棺桶の中の暗いショットのみ、こんな状況が映画になるのかという疑問を吹き飛ばす第一級のスリラーだ。

"The Tillman Story"

"The Tillman Story" 写真クレジット:The Weinstein Company イラク/アフガニスタン戦争を扱ったドキュメンタリー映画は数多く作られているが、本作はその中でも群を抜く秀作だ。物語の中心に戦死した息子の死の疑惑を追う母親の姿があり、彼女の抑制され…

"Winter's Bone"(邦題『ウィンターズ・ボーン』)

『ウィンターズ・ボーン』 写真クレジット:Sebastian Mlynarski/Roadside Attraction 冷たい風が吹きすさぶ貧しい山村の夕暮れ、中年の夫婦が逆さに吊るした鹿の肉を裁いている。それを遠くから見つめる腹を空かした少年。幼い彼は脇に立つ姉を見上げて聞く…

"Animal Kingdom"

"Animal Kingdom" 写真クレジット:Sony Picture Classics オーストラリア映画だが、もちろんカンガルーやコアラの映画ではない。ケダモノの群れ、とでも訳すのがピッタリの犯罪映画の秀作で、今年のサンダンス映画祭でワールドシネマ・ドラマ部門グランプリ…

『Lebanon』(邦題『レバノン』)

『レバノン』写真クレジット:A Sony Pictures Classics 「私は1982年6月6日の午前6時15分に初めて人を殺した。私は20歳だった。」これはプレスノートに書かれた監督の言葉で、記された日付はイスラエル軍がレバノンに侵攻したまさにその日である。

"Cairo Time"

"Cairo Time" 写真クレジット:IFC Films カイロのエキゾチックな風景を背景に、ナイル川のようにゆったりと流れる男女の抑制された情感を美しく見せる映画だ。これぞロマンチック・ムーヴィーの女王様かもしれない。

"I Am Love"(原題『アイ・アム・ラブ』)

"アイ・アム・ラブ/I Am Love" 写真クレジット:Magnolia Pictures ゴージャスな舞台設定とイタリアの陽光煌めく色彩豊かな映像、ドラマチックな音楽など、ヴィスコンティやアントニオーニの映画を彷彿とさせる豪奢なイタリア映画だ。

『キッズ・オールライト』(原題 "The Kids Are All Right")

『キッズ・オールライト』写真クレジット:Focus Features 映画を見ていると、もうかなりの年のハズなのにシワ一つない女の顔をよく見かける。女優は幻想を売る商売だから仕方がないのかもしれないが、たまに年相応な女の顔を見るとウレシくなる。本作に主演…

"Micmacs"(邦題『ミックマック』)

『ミックマック』 写真クレジット:Sony Pictures Classics 『アメリ』で世界的にブレイクしたジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作。彼の作品を観ていると、行ったことはないがパリの骨董品屋にいるようなウキウキとした気分になる。

"Please Give"(邦題『善意の向こう側』)

"Please Give" 写真クレジット:Sony Pictures Classics 人より多く金を持つ人間の罪悪感をめぐるお話である。大富豪という訳ではないが、マンハッタンに部屋を持ち、趣味の良い家具に囲まれて快適に暮らすニューヨーカーたちが登場する。一見ウッディ・アレ…

"Crazy Heart"(邦題『クレイジー・ハート』)

『クレイジー・ハート』写真クレジット:20世紀フォックス映画 この映画は男の物語だ。でも、見終わった時強く印象に残ったのは、主人公の恋人を演じたマギー・ギレンホールだった。主演のジェフ・ブリッジスがアル中のカントリー歌手を演じて、アカデミーの…

"The Secret of Kells"(邦題『ブレンダンとケルズの秘密』)

"The Secret of Kells" 写真クレジット:GKids アイルランドの国宝である聖書の手写本『ケルズの書』はどのようにして生まれたのか。そのいきさつを12歳の少年の冒険物語として描いた童話2Dアニメーション。

ジャクソン・ポロックの作品を見て

SFMOMA, "Guardians of the Secret" サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)の75周年記念展示を見に行って、面白い絵と出会った。ジャクソン・ポロックの "Guardians of the Secret" だ。

"The Good, The Bad, The Weird"(邦題『グット・バッド・ウィアード』)

『グット・バッド・ウィアード』写真クレジット:IFC Films ハリウッドの“アクション映画”はCGばかりで肉体の躍動感が無く、香港映画もワイヤー・アクションでダメになってしまった。そんな荒れ野に現れたこの痛快アクションは、マカロニ・ウエスタンの傑作 …

"Exit Through the Gift Shop"

"Exit Through the Gift Shop" 写真クレジット:A Producers Distribution Agency街中の壁にスプレーペイントなどでグラフィティ(落書き)をするストリート・アートをめぐるドキュメンタリー映画で、近年に類をみない奇々怪々なる快作だった。作ったのは世…

『17歳の肖像』(原題『An Education』)

『17歳の肖像』写真クレジット:Sony Picture Classics 邦題『17歳の肖像』がちょっと違う感じだ。『An Education』では訳しようがなく、カタカナにしても意味不明だったと思うのだけれど、この題名では観て欲しい女たちに届かない気がする。

"VINCERE"(原題『勝利を』)

『勝利を』写真クレジット: IFC Film ヒットラーが出る映画は多く作られているが、ムッソリーニが出る映画はそれほど多くない。本作では彼のニュース映像が多く挿入されて興味深い。猪首でゴツゴツとした大きな顔、派手に身体を動かしながら演説する姿が何…

"The Runaways"(『ザ・ランナウェイズ(原題)』)

『ザ・ランナウェイズ』写真クレジット:Apparition 70年代後半に日本で人気を博した米国のロックバンド、ランナウェイズ。当時を知っている人ならボーカルのシェリー・カーリーのセクシーな下着姿をまず思い出すのではないか。それ以外のことを憶えている人…

"A Prophet" (邦題『預言者』)

『預言者』 写真クレジット:Sony Pictures フランス映画としては久々の本格的ギャングもので、去年のカンヌ映画祭でグランプリを受賞した注目作だ。フランスのギャング映画といえば、 50〜70年代を飾ったフレンチ・フィルム・ノワールの系譜がある。

"Fish Tank"(原題『フィッシュ・タンク』)

『フィッシュ・タンク』写真クレジット:IFC Films この映画を観ていて、津島佑子の『山を走る女』を思い出した。この小説は、親の反対を押し切って子を生んだ若い女の荒れ狂う内面を、生き生きとした筆致で書き切ったもので、津島作品の中でも好きなものの…

"The Last Station"(原題『ザ・ラスト・ステーション』)

『ザ・ラスト・ステーション』 写真クレジット:Sony Pictures Classic ロシアの文豪トルストイは私有財産に否定的で、晩年に印税や財産のすべてをロシア国民に残そうとしていた。ところが妻のソフィアは、「私は『戦争と平和』を6回も清書したのよ、残る家…

"The White Ribbon" (邦題『白いリボン』)

『白いリボン』写真クレジット:Sony Classics Picture ヨーロッパの古めかしい肖像写真を見ていると、時々気味が悪くなってくる。映っている人々に表情がなく、死んでいるように見えるからだ。富と貧困、権威と服従、キリスト教的道徳観が重く人の人生を支…