“The Hunger Games: Mockingjay Part 2“(邦題『ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション』)


ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション』写真クレジット:Lionsgate
救出されたピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)は、独裁者スノー(ドナルド・サザーランド)によって洗脳され、カットニス(ジェニファー・ローレンス)への殺意をむき出しにした。
同じ頃、着々とキャピトル打倒計画を進めている反乱軍のコイン首相(ジュリアン・ムーア)は、キャピトルの武器倉庫を持つ第2地区を制圧。
コインは反乱軍の象徴であるカットニスにスノー忠誠者の説得に向かわせるが、銃弾を受け重症を負ってしまう。ピータの変化に深く心を痛めていたカットニスは、スノー暗殺を目指して幼馴染のゲイル(リアム・ヘムズワース)ら数人と共にキャピトルに向かう。その中には危険なピータもいた。

大ヒットした『ハンガー・ゲー ム』シリーズ完結編、スーザン・コリンズの同名ベストセラー小説3作目の内容を二つに分けたPart 2である。 Part1でも感じたことだが、水増し感は拭えず、やはり一本の映画として作るべきだった。

ストーリーは極めて単純で、その分アクションで見せる作品になっており、カットニスらがキャピトル内に入り込んでから、街中に点在するポッドという危険な罠を乗り越えていく姿がスリリングの描かれていく。知能体力、戦闘技能に優れたカットニスの戦士ぶりを見せる一方、精神状態が掴めないピータへの愛情も持ち続ける彼女の優しさも描かれ、ローレンスは適役だ。

振り返ってみるとローレンスの主演がなければ、これほどの大ヒットにはならなかっただろう。彼女は最近、ハリウッドでは女優の給料が男優と比べて低いと業界内の公然の秘密を暴露して注目を浴びていたが、そんな率直さと明るさで人気を集め、今や米国の「時代の顔」。本作ではカットニスとして反乱軍の象徴となりメディア戦略の顔になっている。

シリーズ全般の面白さとして、独裁者も反乱軍もメディアやテレビを利用して、人心をつかんでいくという戦法を使っている点だ。スノーが仕掛ける殺し合いの生中継ハンガーゲームに始まり、本作でもカットニスが行く先々に監督とカメラマンが付いて回る。

何が起きているかを撮影し、人に見せるということがあたり前となった現在、動画の中に現実を見てしまう落とし穴があると思う。そして、権力を握ろうとする者は必ずメディアを利用する。本作終盤で異様な反乱軍のメディア戦略の正体が明かされる展開は納得ではあった。

それにしてもエンディングは蛇足、やはりこの原作は大人向けに書かれたものでは無かったのだ。あの部分は無い方がすっきりした終幕になったと思う。

上映時間:2時間17分。全米と日本のシネコン等で上映中。

“The Hunger Games: Mockingjay Part 2“ 英語公式サイト:http://www.thehungergames.movie/#/?lang=us-en
ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション』日本語公式サイト:http://hungergames.jp/