"Harry Potter and the Sorcerer's Stone"

世界中で1億冊を売ったJ・K・ローリング作の史上最大のベストセラー『ハリー・ポッター』シリーズの映画化作品。アメリカでは公開3週間で200億円を稼ぎ出した記録ずくめの怪物映画だ。原作を愛読熱読した世界の子供達のために「原作に忠実に」という製作理念が貫かれたようだが、その製作姿勢がこの映画にとってマジカルな呪文となったかというと疑問だ。

孤児としていじわるな親戚の元で淋しい子供時代過ごしていた少年ハリー・ポッターダニエル・ラドクリフ)が11才の誕生日に突然、ホグワーツ魔法魔術学校への入学許可を貰う。ハリーは魔法使いの子供だったと知るのだが、同時に魔術学校の使者ハグリッド(ロビー・コルトレーン)から彼の両親が何者かに殺されたことも知らされる。ハリーは魔術学校に入学し、教授である老練な賢者(リチャード・ハリス)や魔女(マギー・スミス)たちの助けを得て、魔法使いになるための学習をしながら、両親の死の謎に迫る大活躍をしていく。

魔法使い少年の冒険と友情の物語はそれ自体わくわくする面白さを持つ一面、本の「挿し絵」を観たような印象。「原作に忠実に」アクションとディテールこだわり過ぎたせいか、映画としての独自の感情的ダイナミズムを持ち得なかった気がする。原作を読んでいない人には、ぜひ読んでから観ることをお薦めする。監督は『ホーム・アローン』『ミセス・ダウト』のクリス・コロンバス