"Smoke Signal"

文学賞を受賞したシャーマン・アレクシーの小説をもとに、ネイティブ・アメリカンによって共同製作、脚本(シャーマン・アレクシー)、監督(クリス・アイラ)された初めての劇場公開用の長編作品。

舞台はアイダホのネイティブ・アメリカン居留地で、運命的な事件を通して兄弟のようにして育った、まったく対称的な性格の二人の青年ビクター(アダム・ビーチ)とトーマス(エバン・アダムス)が主人公。

この二人が、アル中で家族を捨てたビクターの父の死をきっかけに、彼の亡がらを受け取るために旅に出る。喧嘩しながら友情と自立の足掛りを掴んでゆくビクターと、その彼を支えるトーマスの友情。

ネイティブ・アメリカンの文化が、作品の飾りではなく血肉となって、主人公の熱くて鮮やかな存在感を生み出し、父との葛藤と自立、という青年の普遍的なテーマに結びついていく。
ネイティブ・アメリカンの映画と聞いて、悲惨な居留地の現状や、インディアン呪術の描写などを予期したのだが、その期待を見事に裏切ってくれるトボけたおかしさがいっぱいで、個性ある俳優たちもみな素敵だった。