"Taboo"(『御法度』)

大島渚監督の13年ぶりの最新作。幕末の京都で幕府の警備隊として殺りくの日々を送る新選組が舞台。美貌の少年剣士加納惣三郎(松田龍平、故松田優作の遺児)の、妖しい魅力に取り憑かれた隊員たちが、嫉妬と狂乱に陥り、新選組の堅い結束が崩れていく様を描いた異色の時代劇。

衆道”へと導く田代彪蔵役に浅野忠信、総長の近藤勇には映画監督・崔 洋一などの豪華キャストの他、撮影監督にハリウッドで活躍中の栗田豊通、衣装にワダエミ、音楽に坂本龍一など世界で活躍する一流スタッフを集めた日本映画久々の力作だ。

幕末という激動の時代を背景に、新撰組という殺人組織の中にあったホモセクシュアリティと、その果ての隊員同士の殺し合いを描くことを通じて、エロティシズムの持つ破壊的一面を見つめた大島監督らしい作品。
原作は司馬遼太郎の「新選組血風録」に所収の「前髪の惣三郎」と「三条蹟乱刃」。