"Yi Yi" 

小津安二郎が現代に生きていたらこんな家族の映画を作っていたかもしれない。

年老いた祖母を中心に、倒産しかけた会社を友人と経営する45才の父、仏教カルトにはまっている母、賢く優しい15才の娘 、闊達で好奇心いっぱいの8才の息子の5人家族が登場。親類の結婚式の日、祖母が倒れ植物人間になって自宅療養が始まり、その事件を契機に、家族の心が外へ外へと向かいはじめる。

3時間と長い映画だが、現代の台北市を舞台に、家族という世代も性別も異なる人間が集う場を通して、人生への悔恨と結婚の危うさ、事業の危機と友情、好奇心に駆られた初恋と幼い冒険などが淡々と描かれ、深い味わいがある。台湾ニューウェーブの旗手エドワード・ヤンはこの作品で2000 年のカンヌで監督賞を受賞。日本人プロデューサーも参加した台・日合作映画で、尾形イッセイもいい役どころで登場する。