"The Man from U.N.C.L.E."(邦題『コードネーム U.N.C.L.E.』)


コードネーム U.N.C.L.E.』写真クレジット:Warner Bros. Pictures
時は1963年の東西冷戦時代。元ナチの核兵器開発者を探すCIAスパイ、ナポレオン・ソロ(ヘンリー・カビル)は、東ドイツで開発者の娘ガビー(アリシア・ヴィキャンデル)を見つけ出し、父の行方を聞き出そうとする。
そんな二人を追いかける男はKGBのスパイ、イリヤ・クリヤキンアーミー・ハマー)。対立する米ソのスパイ同士だが、ガビーの父を誘拐した謎の秘密組織による核兵器開発を阻止するために協力を約束。組織と関係の深いガビーの叔父を追って、ソロ、クリヤキン、ガビーの3人はイタリアに向かう。

団塊世代なら懐かしい60年代のTVシリーズの映画化。プレイボーイのソロと堅物のクリヤキンというミスマッチなペアが活躍するスマートでコミカルなスパイもので大ヒットした。

なぜこれまで映画化されなかったのだろうと疑問に思うほどだが、20年以上前から映画化は進んでいた。主演もジョージ・クルーニーやらブラッドリー・クーパーなどを転々とし、製作の寸前までトム・クルーズが主演するはずだったらしい。つまりはスケールの大きな作品を狙っていたのだろうが、やや小ぶりの作品に収まっている。しかし、それがかえって良い味わい。

最近のスパイものはハイテク重視、コンピュータ画面をスリリングに見せるのが定番だが、本作の舞台は60年代。ローテク、アナログ時代のノンビリした感じも良い隠し味だった。

共同脚本と監督は『シャーロック・ホームズ』シリーズで知られる英国のガイ・リッチー。出演者を短いショットの連続で駒のように使い回す演出と、人間ドラマよりスタイル重視が特徴の監督で、本作も彼らしい作品と言える。
登場人物が多いので、しばしば筋が追えなくなる欠点があったが、本作では登場人物を絞り込んでいるので混乱はなかった。

見どころは美男美女揃えた主演の3人だろう。顔の半分に影を落としカビルの鋭角的な顎のラインを捉えたショットの美しさや、60年代初期のファッションに身を包んだヴィキャンデルの愛らしさ、甘いマスクのイケメン、ハマーを真正面撮ったアップなど、「俳優は見た目が第一」と思わせてくれるに充分、眼福であった。

ソロがクリアキンを助けるシーンに流れるロマンチックな60年代のイタリアのヒット曲『ガラスの部屋』なども、ゲイっぽいムードがあってリッチーらしいユーモアを感じさせてくれた。

見目麗しい男女が繰り広げる肩の凝らないスパイ映画に一時の休息を、という程度の期待で観れば後悔はないだろう。

上映時間:1時間56分。全米のシネコン等で上映中。日本は11月14日から全国劇場公開予定。
"The Man from U.N.C.L.E." 英語公式サイト:http://www.manfromuncle.com/#home
コードネーム U.N.C.L.E.』日本語公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/codename-uncle/