“Zootopia”(邦題『ズートピア』)


写真クレジット:Walt Disney Studios Motion Pictures
捕食動物間の関係が解消し、動物たちが平和に共存するズートピアが舞台。ウサギのジュディ(ジニファー・グッドウィン)は夢にみた警察官になったが、大きな動物が主流の警察では小柄なウサギの警官は初めてで、バッファローの上官(イドリス・エルバ)から、駐車違反の取締りを命じられる。
だが、どうしても犯罪捜査をしたいと願い出て、裏情報に長けた詐欺師のキツネ、ニック(ジェイソン・ベイトマン)の助けを得て、ある失踪事件の解決に向けて飛び回る。

警察学校をトップで卒業したにも関わらず、警察内では体が小さいために正当に扱われず、という負け犬ならぬ負けウサギとなってしまい奮闘する女子ウサギの物語。典型的なポリス・ストーリーの枠組みを使って、弱肉強食の関係が終わった後に残る性差や人種への偏見を、子供たちにとっても分かりやすく描こうした試みで、大成功している。

ジュディが意気揚々と初出勤した際、受付の太ったヒョウの警官から「ウサギの警官なんて、かわいい!」と言われ、「そういうことは同種間では言ってもいいけど、別種が言うのはいかがなものかしら?」と言い返すエピソードなど卓抜している。

なかなか挫けない頑張り屋ジュディが、表情豊かに大きな目をクリクリさせ、ピョンピョンと動き回りる姿が実に愛らしく、本作を最後まで牽引している。元々はキツネを主人公にした物語だったのだが、観客モニターでウサギの方に人気が集り、急遽物語を変更。都会育ちでシニカルなキツネを脇に置いたことで、田舎育ちでやる気満々のウサギとのとコントラストが際立った。

監督・原案は『塔の上のラプンツェル』のバイロン・ハワードと『シュガー・ラッシュ』のリッチ・ムーア。脚本はジャレッド・ブッシュなど8名ものライターが名を連ねている。

想像力溢れるの大都会ズートピアの生活や、吠え始めると止まらないオオカミなど楽しいキャラも多く見どころもいっぱい。DMVの受付がナマケモノで、なんでも超スローという設定は、DMVに行ったことのある人なら爆笑ものだろう。

ディズニーは近年、大ヒットした『Frozen』など性差や人種への決めつけや偏見を巧みに物語に取り入れた社会性のある作品作りしており、大統領選挙で人種偏見がクローズアップされている今、タイムリーなアニメと言えるのではないだろうか。

上映時間:1時間48分。日本全国で上映中。
英語オフィシャル・サイト:http://movies.disney.com/zootopia
日本語オフィシャル・サイトhttp://www.disney.co.jp/movie/zootopia.html