”Ocean's Eleven”

今年アカデミー監督賞を受賞した実力派スティーヴン・ソダーバーグ監督が、ジョージ・クルーニーブラッド・ピットジュリア・ロバーツなどハリウッドの超売れっ子スターを集め監督した注目のギャング映画。60年にフランク・シナトラ主演で作られた『オーシャンと11人の仲間』のリメイクだが、前作の戦友が集まって一獲千金を狙う、苦い人間ドラマ風トーンが消え、クールでユーモアたっぷりの犯罪映画になって、生まれ変わった。

4年の刑期を終えて出所したばかりのダニー・オーシャン(クルーニー)は、昔仲間のカードの天才ラスティー(ピット)を呼び出し、さっそく次の仕事を持ちかける。ラスベガスの3大カジノの金一億五千万ドルを集めたベラージオの地下金庫を襲う計画だ。難攻不落の金庫だが、不可能だからこそ血が騒ぐ二人。詐欺師、すり(マット・デイモン)、爆発物、ハイテク、運転、軽業などのプロに声をかけ、11人による準備が着々と始まる。

3大カジノのオーナーは冷酷な事業家テリー・ベネディクト(アンディ・ガルシア)。彼にはベラージオの画廊で働くテス(ロバーツ)という恋人がいるのだが、なんと彼女はダニーの元妻だった。ダニーは逃げた妻も大金も手にしてテリーの鼻を明かそうと、大博打を打っていたのだった。

実在の豪華カジノ・ベラージオを舞台に、胸のすくような大泥棒計画をスムーズに見せていくソダーバーグ監督の腕前は確か。『エリン・ブロコビッチ』や『トラフィック』などタイプの違った作品の多い監督だが、何を撮っても失敗がない。くすぐりの利いた台詞を決めるスターたちからはスマートな泥棒役を演じる喜びが溢れ、この作品に軽快な幸福感を加えている。ホリデイシーズンにぴったりのエンターテイメントとして推薦したい。