"Pollock" 

トゥルーマン・ショー』などの渋い演技で名優の風格が出てきたエド・ハリスが10年がかりで役作りをし、監督/主演(この役でアカデミー主演男優賞にノミネート)した会心の一作。戦後、アメリカ絵画を世界美術の中に位置づけたアクションペインティングの代表的画家ジャクソン・ポロックのアーティストとしての短い生涯を描く。

売れない貧しい画家時代、彼の才能を見抜いた画家仲間のリー・グラスナー(マルシア・ゲイ・ハーデン)は、ポロックを有名画商や裕福なコレクターと引き合わせていく。後に二人は結婚し共に画家として平和な生活を始め、ポロックは次第に絵筆を使わないアクションペインティングの画法を確立していく。

インスピーレーションを待つ長い空白の時間、創作の躍動、焦燥、混乱など創造に向けて全身全霊を傾けるアーティストの実像に迫るハリスの演技が見どころ。また、夫の女癖酒癖の悪さにへき易となりながらも彼の才能を信じ、自身も最後まで画家であろうとした妻リーとの関係も丁寧に描かれ、定石通りのアーティストものを超える夫婦のドラマにもなっている。