"Nina's Heavenly Delights" と"Four Minutes"


プラティバ・パーマー監督の"Nina's Heavenly Delights"の一場面。
写真クレジット:Verve Pictures

今日14日から、フレイムラインの主催によるサンフランシスコ国際レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(以下LGBT)映画祭が始まる。
今年で31回目、24日までの11日間に、世界25カ国以上から劇映画、ドキュメンタリー、アニメなど230作品あまりが上映される。会場はベイエリア4カ所、サンフランシスコはカストロ(429 Castro St.) とビクトリア(2961 16th St.)各シアター、ロキシー・フィルムセンター(3117 16th St.)、オークランドはパークウェイ・シアター(1834 Park Blvd.)。

この映画祭では、劇場上映されることのまれな世界のLGBT映画を観る良い機会で、アジアからの劇映画は、刺青師の女性が主人公の "Spider Lilies"(台湾)、 少年期の恋を描いた"Eternal Summer"(台湾)、男同士の苦しい恋の物語 "No Regret" (韓国)、マッチョなダンサーたちの舞台裏を映し出す"Twilight Dancers"(フィリピン)、ゲイを肯定するユニークな寺院のドキュメンタリー作品 "Love Man Love Woman" (ベトナム)などが上映される。今回、日本からの長編劇映画出品はない。

試写ビデオを観ることのできた作品の中から、女性を主人公にした二作品を簡単に紹介したい。

一作目はイギリス映画の"Nina's Heavenly Delights" 。同性愛者であることを隠してロンドンに家出をしたニーナが、死んだ父の残したインド料理レストランを再建するために奮闘するお話。スコットランドを舞台に料理の鉄人風コンテストや、ゲイ・ダンサーによる華やかなダンスシーンなどインドカルチャーを盛り込んだカレー風味の『ベッカムに恋して』のような明るいコメディ。この映画でも親が子供に優しいのが気持ち良い。上映は21日(木)カストロで。


クリス・クラウス監督の"Four Minutes"のポスター。
写真クレジット:Wolfe Releasing

次はシリアスなドイツ映画 "Four Minutes"。刑務所でピアノを教える老境を迎えた教師と、彼女がピアノの才能を見いだした若い受刑者とのドラマ。教師は戦時中に看護婦で、同僚で共産主義者だった女性と愛し合っていたが、ナチによって無惨にも殺されていた。ドイツの忌まわしい過去を負った教師と、親との忌まわしい関係に苦しむ才能豊かな若いピアニストとの子弟の確執を描いている。前衛的なピアノ演奏も目を見張る素晴しさで、さすがドイツ映画と思わせるものがあった。上映は18日(月)パークウェイ、23日(土)ロキシーで。

チケットは10ドル、マチネ8ドル。上映スケジュールとチケット入手の詳細はhttp://www.frameline.org まで。