"U2 3D"


"U2 3D" 写真クレジット:3ality Digital. Photo by C. Taylor Crothers

映画や音楽の楽しみ方が加速的に進化している。大ヒットしたアクション映画をiPod にダウンロードし、小スクリーンで観ることが可能になったかと思ったら、ロックコンサートを3Dで、しかもIMAXの巨大スクリーンで観ようという新たな試み。出来映えは驚異的、圧倒的な臨場感だった。

100ドル近く払ってコンサートに行き、遠くにいるバンドを望遠鏡で見るのがアホらしくなりそうだ。

アイルランド出身のスーパーバンドU2の世界ツアー "Vertigo Tour"(05−06年)、南アメリカ数都市でのライブを9台の3Dカメラで撮影した。そもそもこのコンサートがダイナミック。U2のファンではなかったが、目の前でパワフルに歌い演奏する彼らにすっかり魅了されてしまった。

変化に富んだステージを演出する長く会場に張り出した花道。ステージのバックとサイドに巨大なLED(発光ダイオード)による光のカーテンが設置され、さまざまな光と映像/メッセージが映し出されて彼らの演奏と連動する。それに応えるように、スタジアム会場を埋めつくす何万という観衆の興奮がうねるように広がる。素晴らしいコンサートだ。

それらのすべてがアップや俯角、俯瞰などのさまざまなカメラアングルから3D映像として眼前に広がり、あたかも自分が会場にいるような錯覚におちいる。初期の大ヒット曲"Bloody Sunday"を歌う場面では、ボノが延ばした手が自分に届きそうでびっくりしてしまった。

宗教の対立や紛争の終わりを歌い社会派としても知られるU2は、さまざまなジャンルの音楽を取り入れ、変化してきた息の長いバンドでもある。iTune ストアに全曲をのせるなど、積極的に最先端の技術も取り入れてきた。

この映画は、変化を続ける彼らの現在を鮮やかに映し出す最良のメディアと言える。優れた音楽性、力強い演奏、芸術性の高いステージ・デザインを、最先端の映像技術で堪能。U2ファンのみならず、ロックファンにはぜひお薦めしたい。

メンバーは、ボノ(ボーカル/ギター)、ジ・エッジ(ギター/キーボード/ボーカル)、アダム・クレイトン(ベース)、ラリー・マレン・ジュニア(ドラムス)の4人。監督はキャサリンオーウェンズとマーク・ ペリングトン。

上映時間:1時間25分。サンフランシスコは、23日からメトリオンIMAXシアターで上映開始。

"U2 3D"英語公式サイト:http://www.u23dmovie.com/