女性を主人公とした海外作品。


"XXY"、Lucia Puenzo 監督
写真クレジット:Film Movement
サンフランシスコ国際レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(以下LGBT)映画祭が16日から29日の期間で開催される。
フレイムラインの主催で今年は32回目。世界32カ国から劇映画、ドキュメンタリー、アニメなど237作品が上映される。会場はベイエリア4カ所、サンフランシスコはカストロ(429 Castro St.) とビクトリア(2961 16th St.)各シアター、ロキシー・フィルムセンター(3117 16th St.)、バークレーはリアルト・シネマズ・エルムウッド(2966 College Avenue)。

英語圏以外からの出品作で女性を主人公とした劇映画をいくつか紹介しよう。

まず日本からは、やまじえびね原作漫画の映画化"Love My Life"。女子大生の恋とカムアウト、親との関係や将来への夢などをサラリと描いた青春恋愛もの。タレントの吉井怜とモデルの今宿麻美が主演。父親役に作家の石田衣良小泉今日子浅田美代子などがカメオ出演している。


"The New World"、Etienne Dhaene 監督。
写真クレジット:Casque D’Or Films
イタリアの”No End"とフランスの"The New World"はそれぞれ、女性カップルが子供を産もうとするお話。両国ともに同性愛者の人工授精が認められていない状況を背景としており、主人公たちが妊娠のために苦戦する様子が、前者はシリアスに後者はコメディタッチで描かれていく。


"Dolls"、Karin Babinska 監督
写真クレジット:Frameline
ドイツの"Sonja"とチェコの"Dolls"は少女の初恋がテーマ。共に家族の無理解や断絶が背景にあり、孤独な少女たちがセクシュアリティの目覚めを一人で耐え、成長していく姿を瑞々しく、激しく描いている。とりわけ"Dolls"は、混乱する少女の内面をドキュメンタリータッチの鮮烈な映像でみせ、去年カンヌでグランプリを受賞した”4 Months, 3 Weeks and 2 Days”を彷彿とさせる新しい東ヨーロッパ映画の息吹が感じられる作品だった。

最後はアルゼンチンの"XXY"。15才のインターセックス(両性具有)の少女が主人公だ。彼女の初恋と心と身体の変化を軸に、周囲の困惑と暴力から娘を守ろうとする父親の姿を描いている。難しいテーマを真摯な姿勢で取り上げ、性差とは、セクシュアリティとは何かと問わずにいられない優れた作品だった。

海外の作品を観ていくと、LGBTに対する各国の国情の違いなどが浮かびあがる。これも国際映画祭の醍醐味だ。紹介できなかったが、ドキュメンタリー作品も興味深いテーマのものが多いので、ぜひプロググラムをチェックして欲しい。

チケットは10ドル、マチネ8ドル。上映スケジュールと前売り券入手の詳細はhttp://www.frameline.org/festival/まで。