"Mamma Mia!"


"Mamma Mia!" 写真クレジット:Universal Pictures

団塊世代の女性の夢と憧れに焦点をあてたミュージカル映画の決定版だ。一人で娘を育ててきたシングルマザーの叶った夢も叶わなかった夢も大きな鍋に放り込んで、ABBA のヒットソングで賑やかに焚き上げたのがこの映画。
「ダンシング・クイーン」や 「スーパー・トゥルーパー」など20曲以上の懐かしい曲が次から次と登場し、楽しいことこの上なかった。これまで多くの試写に行ったが、映画の最後に観客が立ち上がって踊っていたのはこの映画が初めて。ただし、ABBA が苦手の人はダメかもしれない。

物語は極めてシンプル。ギリシャの島で父親を知らずに育った娘(アマンダ・セイフライド)が結婚を前に母(メリル・ストリープ)の日記を発見。日記に書かれた父親らしき男性三人(ピアース・ブロスナンコリン・ファース、ステラン・スカルスゲールド)に、母が会いたがっていると手紙を出した。すると、その三人が結婚式の前日に現れた。何で彼らが現れたか分からない母親は大慌て。娘の結婚のために集まっていた自分の親友やら娘の親友、花婿の友人たちなどを巻き込んで大騒ぎになっていく。

九九年にイギリスで初演されて以来、世界の117都市で3000万人が観たメガヒット・ミュージカルの映画化だ。当地の公演も愉快に観劇した記憶があるが、三階席で観たせいか、映画の方が登場人物の顔が見えるぶん物語のおかしさが堪能できた。

夢のようなギリシャの島を舞台に、母親思いの明るい娘がいるシアワセ、若い時と同じ屈託のなさで喋れる女友達がいるシアワセ、過去を彩るハンサムな男に囲まれるシアワセという、女性の憧れを知り尽くした物語展開である。プロデューサーのジュディ・クレイマーに始り、脚本家キャサリン・ジョンソン、演出家フィリダ・ロイドなど主要スタッフがすべて女性というのも大成功の秘密だろう。映画化に当たって同じスタッフが参加している。

見どころは、何といってもストリープだ。歌い(上手い!)、踊り、飛び跳ね、走りと大活躍。元々ミュージカル出身の俳優ならともかく、米国を代表する演技派俳優として知られる彼女が実は筋金入りの芸人でもあった、という発見が意外だった。

もう一つの見どころはギリシャの海。ブルートパーズみたいな美しい海の色にため息が…。それをバックに、健康的な容姿のセイフライドが歌う姿には、若さの輝きと生命力がみなぎっていた。

ともかくも観客サービスに徹したピュアなエンターテインメント作品なので、堅いことは言わず楽しい時間を過ごしたい人にお薦め。映画の最後、制作クレジットが流れる間にも爆笑シーンがあるので席を立たずに最後まで楽しんで欲しい。

上映時間:1時間48分。ベイエリア各地の主要シアターで上映中。

"Mamma Mia!"英語公式サイト:http://mammamiamovie.com/