"Rachel Getting Married"


"Rachel Getting Married" 写真クレジット:Sony Pictures Classics

薬物依存症でリハビリ中のキム(アン・ハサウェイ)が、姉レイチェル(ローズマリー・デウィット)の結婚式にやって来た。父の大きな家で数日かけて行われる結婚式は音楽と花に彩られ、集まった家族や友人たちの喜びでわき立っていた。
華やかなムードの中で居場所のないキムは、姉の用意したドレスの色が気に入らないなどと難くせをつける。姉の結婚を祝いたいのだが素直になれないキム。そんな彼女をかばう優しい父(ビル・アーウィン)に、「キムなんて来なければ良かった」と泣きながら訴える姉だ。

姉妹の緊張が高まった結婚式の前夜。キムは父と離婚した母(デブラ・ウィンガー)を訪ねて、怒りを爆発させる。この家族の過去に何があったのか?

近年"Neil Young: Heart of Gold" や "Jimmy Carter Man from Plains"http://d.hatena.ne.jp/doiyumifilm/20071031/1193793050などのドキュメンタリー映画を通じて反戦色を出し、新境地を切り開いているジョナサン・デミ監督(『羊たちの沈黙』)の最新作。この作品でもドキュメンタリー手法が使われ、あたかもホームムービーを見ているような親密感のある作品だった。

結婚式というハレの日を背景にした映画というと『ゴットファーザー』や『モンスーン・ウェディング』などの名作があり、家族の秘密や過去が暴かれていく明暗の対比が特徴的だ。ここでも家族の明暗が描かれていくのだが、家族愛や信頼に焦点が置かれているため過度な暗さや重さがなく、観終わるとまるで自分も結婚式に出席していたような気分になった。

中学校教師でもあるジェニー・ルメットの書いたオリジナル脚本を元に、俳優たちが現場で即興で演じたらしい。プリンセスのイメージが強いハサウェイが汚れ役に挑戦というウリかもしれないが、見どころ聞きどころは参列者たちの生き生きとした演技と、全編に流れるユニークな音楽だ。

レイチェルの結婚相手はアフリカ系、式進行役は中国系、結婚式はインド式、バイオリンで奏でられるテーマ曲はパレスチナ人の音楽家の作曲、その他にもシリア、イラクギリシャ、ジャマイカなどの音楽家が歌い演奏し、打ち上げではブラジリアン・ダンサーまで登場する。

これら豊かな文化を一同に見せ聞かせることにデミ監督の主眼があったのではないだろうか。世界がこんな風だったら戦争なんて起きない、そんな気持ちにさせられた。

上映時間:1時間57分。サンフランシスコは10日よりエンバカデロ・シアター、イーストベイはシャタック・シアターで上映開始。

"Rachel Getting Married"英語公式サイト:http://www.sonyclassics.com/rachelgettingmarried/