"Home"(原題『ホーム』)


"Home"写真クレジット:20th Century Fox  
故郷を失ったブーヴ星人が地球にやってきた。キャプテン・スメック(スティーヴ・マーティン)の指揮の下、地球人を集め、新しい町を作って移転させ、地球での生活を始めたブーヴ星人。ところがドジなオー(ジム・パーソンズ)が誤ってブーヴ星を破壊した仇敵ゴグスを引っ越しパーティに招待してしまった。
追われる身となったオーは、ブーヴ星人がいない南極に行ったら友達もできると思い逃亡を企てる。その過程で母(ジェニファー・ロペス)を探す少女ティップ(リアーナ)と出会い、彼女の母親探しも手伝う大冒険が始まる。

ディズニーと並んで『シュレック』や『カンフー・パンダ』などのヒットアニメを量産しているドリームワークス(以下DW)の最新作だ。失敗が多くて友達がいない異星人と、母がいなくなって一人ぼっち少女が、ファンタジーたっぷりの冒険を通して友情を育てていく物語で、監督は秀作アニメ『アンツ』のティム・ジョンソン。原作はアダム・レックスの”The True Meaning of Smekday” だ。

表情豊かなオーが感情ごとに七色に肌の色を変えるカラフルさや、コンビニの機材を使って改造した空飛ぶ車など、DWの最近のヒット作『ヒックとドラゴン』の少女バージョンという趣き。ストーリーがシンプルなので、10歳位のまでの子供たち向け作品という印象を強くした。その枠組みは欠点というより、この年齢の子供たちに適切な情操を育て、何にエキサイトし、何を楽しく感じるかということを良くリサーチした上で作られているということでもある。

平板になりがちなストーリーを盛り上げるポップミュージックと、人気俳優や歌手を起用して、彼彼女らの声やしゃべりの面白さを作品を反映させたアニメ作りで、それがDWのお家芸でもある。創造性豊かなピクサーのアニメと比べると大人の鑑賞には耐えにくいが、劇場で隣に座っていた8歳ぐらいの女の子はウキウキと実に楽しそうだった。

それにしても「友達がいない」主人公というのは、いかにも今っぽい。DWのリサーチが正しいとすれば、「友達がいない」ことに悩む子供が多いということなのだろう。大人ですらFacebook の「好き」の数やツイッターフォロワーの数に自分の存在意義を見出してしまう時代。子供たちも例外ではなく、それが10歳以下というのが辛い。

上映時間:1時間34分 
"Home" 英語公式サイト:http://www.meettheboov.com/